#129【徹底解釈】「まるで幸せ」と「幸せ」何が違うの?
どうもです。
お正月だったのにおせちも雑煮も食べられなかったななんて思っていたら1月も半分を過ぎていました。
ひとつ季節を逃したような、なんだか不思議な気分。
お正月にお雑煮食べれるって本当に幸せなんだなって思ってもっと日本が好きになりました。
まあそれはさておき
今日は
昨年末にリリースされた
ジェニーハイの新アルバム
「ジェニーハイストーリー」から
川谷絵音作詞作曲の
まるで幸せ
を選んで歌詞について
根掘り葉掘り
僕の解釈を伝えられたらなって
思っております。
この曲はアルバムの最後の曲で
プロポーズソングです。
と言っても遠回しの表現ではなくかなりストレートに表現されています。他には類を見ない新しいプロポーズソングを徹底解釈していきます。
ここにジェニーハイ激推しの回のリンク貼っておきます。↓↓
- 早速歌詞解釈していきます♪
恋にかまけたい
詩的でロマンチック
だからこそ存在を疑うような心
生活の方はさして変わらず
目に見えるものだけを掴もうとしてる毎日でした
そんな亀のような日常に
急にウサギが飛び出してきた
忘れられない
可愛いあなたを
このパートでは前半で、この歌の主人公(以降、便宜上“ ボク ”)の恋愛の価値観や日常が、後半ではボクの日常に突如「可愛いあなた」が現れたという場面が見て取れます。
気になるのは恋に「かまけたい」という少し聞き慣れないフレーズ。これは恋に取り憑かれたい、熱中したいと意味で、心の中ではそう思っているボクなのに生活は大して変わらなく、ロマンチック思考のボクは心が実際存在するのかすら疑ってしまっています。そのため、ボクは恋や心など目に見えないものではなく、目に見えるものを掴もうとしたのです。
そのように、考えているだけでなかなか進まないノロノロの人生にある日突然、とびきり可愛いあなたが登場するのです。注目すべきはここで使われる「亀🐢」と「ウサギ🐇」の対比。自分の人生スピードの遅さと、あなたから感じ取れる早さ。そして輝きようの差。さらには漢字で堅苦しさを表し、カタカナで弾ける様なポップ感を出しています。3種のコントラスト、美しいです。
一目惚れはしない方だったんだけど
あれはしちゃうよな
今は見慣れ過ぎて他にも目移りだけはしちゃうけど
このパートは完全にあなたに惚れちゃったことがわかります。そして「見慣れ過ぎて」のところから長い間をこの時点で過ごしている恋人同士といっていいでしょう。また、目移りだけはしちゃうけどとあえて付け足す辺り、正直なんだなと思います。
幸せになりませんか?
渾身の綺麗事
一生に一度の勝ち戦
好きが少し減ったとしても
嫌いにはなれないから
同じベッドで背を向け合うくらいさ
幸せになりませんか?
幸せがなんなのかはわからないけど、プロポーズの時だけは「渾身の」綺麗事でカッコよく決めようとするボク。そしてここでまた気づかされます。川谷絵音はリスナーの耳に何か引っ掛ける天才です。「渾身の」というポジティブワードに「綺麗事」という圧倒的ネガティヴワードを使う。でもなぜかちょうどいい。
全く、気味が悪いです。
ところでここで、目に見えるものだけを掴もうとしていたボクから、目に見えない幸せを掴みに行こうとしているボクの心情の変化が見れると思います。この変化を見てから聞くのとそうでないのでは受け取り方が変わると思います。
そして「ボクら」の好きは少し減ったところで嫌いが勝つことはないだろうと信頼し合っていて、それを例える「同じベッドで背を向け合うくらいさ」がめちゃくちゃ好きです個人的に。
浮ついた気持ち沈むように
仕事を積み上げた
それでもフワフワしちゃってるよ
目に見えて何か変わるわけじゃないけど
ここでもまた重要なコントラストが見られます。「浮ついた気持ち」を「仕事」によって沈めようとするボク。それでも風船の様にフワフワと浮つき続ける気持ち。目に見えるものしか追わないはずだったのに、いつのまにか目に見えない未来の幸せに心が持っていかれています。
プロポーズは一回きり
見慣れ過ぎた顔を前に
見たことないくらい汗をかいた
笑わないでよ
悉くコントラストを見せてくるこの曲。緊張することなんかあるはずない「見慣れ過ぎた顔を前に」汗をかくボク。しかも「見たことないくらい」の。不思議すぎるこの状況は、いかにプロポーズが人生で特別なのかをうまく表しています。僕自身もいつかプロポーズする時たっくさん汗かくんだろうなあ、なんて想像したりも。おかしいかもしれないけど、笑わないでよって。
幸せになりませんか?
渾身の綺麗事
一生に一度の勝ち戦
好きが少し減ったとしても
嫌いにはなれないから
同じベッドで背を向け合うくらいさ
まるで幸せ
嫌いになれないだけで
まるで幸せ
こんなに簡単なことなのに
どうしてここまで愛しいの
ついに来ました。
ここでタイトル回収です。「まるで幸せ」一体何故 「まるで」なのでしょうか。
「嫌いになれないだけでまるで幸せ」
一般に幸せを語る時、プラスのことをみんな考えると思います。ただこの詞ではマイナスにならないというニュアンスしか書いてありません。喧嘩しても好き、じゃなくて喧嘩しても嫌いになれないのです。それだからこそ幸せとは言い切れないかも知れないけど、とても愛おしい、だからまるで幸せなんだなと僕は解釈します。
また、幸せとは何なのかはなかなか定義が難しいですよね。大抵は事が過ぎてから「あの時は幸せだったなあ」と気がつくもの。目に見えるものだけを求めてきたボクにとっては尚更難しいのだと思います。きっと幸せはこの事なのだろうという意味も含めての「まるで幸せ」ではないでしょうか。
あなたが泣く時は
出来るだけ笑ってるから
一つ約束するならこれかな
ここでようやくポジティブな約束が書かれています。楽しい時間を増やすのも大事だけど、辛い、悲しい時にそばにいて笑ってくれるって最高の約束だと思います。
結ばれた先は長い
あなたと老いていくだけ
つまらないことばっかかもしれないよ
だけどもうあなたにしか
たるんだ裸見せれないし
思い出補正も重なれば良いもんさ
明日になれば喧嘩するかもしれないけど
まあいいや
そんな風に思えるのもあなただけ
ここでは結婚後を想像しているシーンが描かれています。そしてここでは怒濤のネガティヴワードが登場。「先は長い」「あなたと老いていくだけ」「つまらないことばっか」「たるんだ裸」「喧嘩」現実的に結婚生活を考えればこれらは全て当てはまると思います。でもそんな嫌なことでさえもあなたとなら「まあいいや」と思える。
だから結婚しよう
というわけです。
如何でしたか?
全体通して見るとやはり言葉のコントラストが顕著に見られますね。そして「一生」「一度」一回きり」といったフレーズがプロポーズの重要さを際立たせています。
2019年はこの世に出た曲だけでも53曲も川谷絵音さんは描いたそうです。深掘りすればするほど味が出てくるこんな素晴らしい曲を世に送り出してくれることに感謝です。
ではまた素晴らしい曲に出会った時に語ろうかと思います。最後まで読んでくださってありがとうございました。